ライオンめざめる


ライオンめざめる5


ふと足元をみると、枯草の中に、うす
紫色の松虫草の花が、十本くらい咲い
ていました。
松虫草の花は、秋の日をあび、きらっ
きらっと美しく輝いています。
「なんてきれいだろう」
かなは、松虫草の花に見とれていま
した。



すると・・・。
花のみつをすいにきたのでしょうか。
どこからか、赤いちょうが一匹舞って
きました。
みたことのないちょうです。



松虫草の花の上で、ちょうが大きく羽
をひろげた時、かなは「あっ」と驚き
の声をあげました。
そのちょうは、くじゃくの羽のような、
鮮やかな色をした赤いちょうでした。



ちょうの羽には、大きな目玉のように
みえるもようがついています。
ちょうをじっとみていると、かなはだ
れかにみつめられているような気がし
ました。



しばらくすると、あっちの方から一匹、
こっちの方から一匹と、たくさんのち
ょうが、松虫草のまわりに集まってき
ました。
ちょうの数は何百匹。
いや何千匹でしょうか。
 
               つづく



「ライオンめざめる」は、風の神様か
らのおくりものシリーズ4。
今年十月、「鳥影社」から発行されま
した。









ライオンめざめる―風の神様からのおくりもの〈4〉 (風の神様からのおくりもの (4))

ライオンめざめる―風の神様からのおくりもの〈4〉 (風の神様からのおくりもの (4))