ライオンめざめる


     ライオンめざめる4


「私も最初はそう思ったわ。金ででき
ているライオンが、うなるはずはない
って。でも、何度もうなり声を聞いて
いるうちに、ロケットの中に、だれか
とじこめられているのではないかと思
うようになったの」



「そんなばかな・・・。とうちゃんは、
かなのいうことを信じたい。
でも、この話だけは、信じることがで
きないね」
おとうさんは、困ったような顔をしま
した。



さわやかな秋になりました。
かなとりゅうは、高原の小高い丘への
ぼりました。
りゅうは散歩が大好き。
かなの顔をみると、「散歩に行こう。
ねぇ、散歩に行こうよぉ」と、大声で
さいそくします。
かなはライオンのロケットを首にかけ、
散歩に行きました。 



丘へつくと、夏のあいだ美しく咲いて
いた日光きすげややなぎらんは、すっ
かり枯れていました。
そして、草原は一面すすきでおおわれ
ていました。
松虫草の花は、咲いているかしら」
かなは、松虫草の花を探して歩きました。



あちこち探しましたが、松虫草の花は
なかなかみつかりません。
松虫草の花は、もう枯れてしまった
のかしら」
かなは、あきらめて家に帰ろうと思い
ました。


                 つづく


「ライオンめざめる」は、みほようこ
の四冊目の童話集・「ライオンめざめ
る」に収録されています。


「ライオンめざめる」は、風の神様か
らのおくりものシリーズ4。
今年十月、「鳥影社」から発行されま
した。









ライオンめざめる―風の神様からのおくりもの〈4〉 (風の神様からのおくりもの (4))

ライオンめざめる―風の神様からのおくりもの〈4〉 (風の神様からのおくりもの (4))



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