げら、桜が咲いたよ


    げら、桜が咲いたよ2


おじいさんの庭には、小鳥たちのために、南天・梅
もどき・まゆみなど、実のなる木がたくさん植えて
あります。



大きな桜の木もありました。
春だけでなく、初冬にも花が咲く珍しい桜でした。
おじいさんは、初雪が降る頃咲く、この桜が大好き
でした。
おじいさんだけでなく、村の人たちも、桜の花が咲
くのを楽しみにしています。



まゆみの実が、桃色になりました。
「ギーィギィーギーィ」
ボートをこいでいるような、きみょうな音が聞こえ
てきました。
「何の音だろう?」
音は、桜の木の方から聞こえてきます。
見ると、桜の木に、小さな鳥がきています。



その鳥は、くちばしで木の皮をつつきながら、
「ギーィ、キキキ」と鳴いています。
「あっ、こげらだ。かわいい鳥だな」
おじいさんは、白と黒のチェックのコートをきたこ
げらが、いっぺんで好きになりました。
庭へこげらがやってきたのは、初めてです。
「この森にも、こげらがいたのか」

こげらは、おじいさんが小鳥好きの人間だとわかる
のか、近づいてもにげもせず、木の皮を一心につつ
いています。


つづく