風の神様からのおくりもの

風の神様からのおくりもの


http://www.geocities.jp/dowakan/kazenokami1.html


   一部を紹介します。


「そうそう、かんじんなことを、いい忘れるところじ
ゃった。実は、わしが大切にしている例のまゆ玉を、
女の子においてきたので、そのつもりでな」
「風の神さま、例の黄金色のまゆ玉でございますか。
そんな大切なまゆ玉をあの子に・・・・・・。
風の神さま、本当にあの子がまゆ玉をいただいてよろ
しいのでしょうか」



「いいんじゃよ。あの子が幸せになってくれれば・・・。
わしはそれでうれしいのじゃ。それより、あの子が苦
しみに負けず、
自分の使命をまっとうしてくれるといいがのー」
風の神さまが縁側においてきたまゆ玉は、どうも普通
のまゆ玉ではないようです。



風の神さまは、守屋山でかいこをかっていました。
かいこからは、毎年沢山のまゆ玉がとれました。真っ白
いまゆ玉です。
風の神さまが住んでおられる守屋山には、こんないいつ
たえがありました。



守屋山では、四百年に一度、それもたったひとつだけ、
黄金色に輝く小さなまゆ玉がとれるといわれています。
この地方に住んでいる人々のやさしい気持が、黄金色の
まゆ玉になるのだそうです。
風の神さまは、四百年にひとつだけとれる黄金色のまゆ
玉を、とても大切にしておりました。



そのまゆ玉は、たとえ風の神さまがもうひとつほしいと
思っても、なかなか手にはいらない貴重なまゆ玉だった
のです。とくにこのごろは、人々にやさしさがなくなり、
「自分さえよければ、他人はどうなってもよい」という
人がほとんどです。
だから、二千年くらいたたないと、黄金色のまゆ玉は手
にはいらなかったのです。



黄金色のまゆ玉は、この地方に住んでいる人々のやさし
さをしめす、鏡のようなものでした。


    「風の神様からのおくりもの」より




「風の神様からのおくりもの」は、みほようこの初めて
の童話集・「風の神様からのおくりもの」に収録されて
います。

「風の神様からのおくりもの」は、2001年8月、
「鳥影社」から発行されました。







http://www.geocities.jp/dowakan/douwasyuu1.html



心を病む兄のために、明神様にお参りする心優し
い少女の話など4編。
信州諏訪を舞台に、美しい挿絵を添えて描かれる
心温まる創作童話。


    収録されている童話


 ・  明神さまの姿をみた少女

 ・  風の神様からのおくりもの

 ・  雪んこの舞

 ・  守屋山に黄金色の花が咲いた 




風の神様からのおくりもの―諏訪の童話

風の神様からのおくりもの―諏訪の童話