笛の音よ、永久にひびけ


童話「笛の音よ、永久にひびけ」は、みほようこ
の四冊目の童話集・「ライオンめざめる」に収録
されています。



「ライオンめざめる」は、今年十月、「鳥影社」
から発売されました。


    
「笛の音よ、永久にひびけ」の一部分を紹介します。 



二ヶ月が過ぎました。
楓は、最後のはっぱを、たくさんつけることが
できました。
「最後のはっぱを、つけることができたぞー」
楓は、大声でさけびました。
そして、大きな体を、ゆっさゆっさとゆらしました。 
「さわ、さわー」
「さわ、さわーー」
たくさんの楓の葉のゆれる音が、丘にひびきわたり
ました。


  
「ばさっ」
「ばさりっ」
じゃまになるといわれた森の木が、大きな音をたて、
次々に切りたおされていきました。
「チェーーン」
「チェーーン」
チェーンソーの音でしょうか。
高い音が聞こえたかと思うと、あっという間に、森の
木が次々に切りたおされていきます。
楓が驚いてみていると、森の木がみんな横たおしにな
ってしまいました。



「いよいよ、わしの番か。さぞ、痛いだろうな」
そう思った時、耳元で「チェーーン」という高い音が
しました。
「ばさりっ」
楓の木のたおれる音が、丘の上にひびきわたりました。
楓は余りの痛さに顔をしかめ、そのまま失神してしま
いました。


     「笛の音よ、永久にひびけ」より




ライオンめざめる―風の神様からのおくりもの〈4〉 (風の神様からのおくりもの (4))

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