竜の姿をみた少女


     竜の姿をみた少女1


たてしな山は、「諏訪富士」とよばれ、大昔から
佐久や諏訪の人々に愛されてきました。
山のふもと、茅野の里に、しらかば湖という美し
い湖があります。
音無川をせきとめてつくられた、人造の湖でした。



一月末の日曜日。
かなは、おとうさんと一緒に、しらかば湖へ行き
ました。
目の前には、雪をかぶったたてしな山が、朝日を
あび美しく輝いています。
「おっかあ」
「おっかあー」
「だれかしら?」
かなは、あたりをみまわしました。
でも、湖のまわりには誰もいません。



「とうちゃん。今、何か声が聞こえなかった?」
「いやー、何も。何か聞こえたかい」
「おっかあ、おっかあーという声が、聞こえたの」 


つづく



「竜の姿をみた少女」は、みほようこの二冊目の
童話集・「竜神になった三郎」の続編。



竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)

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