竜の姿をみた少女1
たてしな山は、「諏訪富士」とよばれ、大昔から
佐久や諏訪の人々に愛されてきました。
山のふもと、茅野の里に、しらかば湖という美し
い湖があります。
音無川をせきとめてつくられた、人造の湖でした。
一月末の日曜日。
かなは、おとうさんと一緒に、しらかば湖へ行き
ました。
目の前には、雪をかぶったたてしな山が、朝日を
あび美しく輝いています。
「おっかあ」
「おっかあー」
「だれかしら?」
かなは、あたりをみまわしました。
でも、湖のまわりには誰もいません。
「とうちゃん。今、何か声が聞こえなかった?」
「いやー、何も。何か聞こえたかい」
「おっかあ、おっかあーという声が、聞こえたの」
つづく
「竜の姿をみた少女」は、みほようこの二冊目の
童話集・「竜神になった三郎」の続編。
- 作者: みほようこ,長野ひろかず
- 出版社/メーカー: 鳥影社
- 発売日: 2004/04
- メディア: 単行本
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