竜の姿をみた少女


     竜の姿をみた少女2


「そうか。とうちゃんも、しらかば湖でつりをして
いた時、『おっかあ、おっかあー。どこにいるー』
という声を聞いたことがある」
「だれの声なの?」
「妻をさがして歩く三郎の声だといわれている」
「三郎って、だれ?」



「大昔、たてしな山のふもとに住んでいたという三
郎だよ。三郎はね、なぜか竜になってしまったのだよ」
「竜に? とうちゃん。しらかば湖に、竜がいるって、
ほんとう?」
「さあなぁ。村には、竜がいるといういいつたえがあ
るが、竜の姿をみた人はだれもいないからね。でも、
しらかば湖には、竜がいるかもしれないよ」
おとうさんは、夢みるようにいいました。
「ねぇ、とうちゃん。村に伝わっている竜の話って、
どんな話なの」


つづく



「竜の姿をみた少女」は、みほようこの二冊目の
童話集・「竜神になった三郎」の続編。



竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)

竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)



湖につき落とされた三郎が、地の神に助けられ、心
のやさしさゆえに、竜神となる表題作ほか、守屋山
の明神様にまつわる、福寿草と少女の話を収録。
信州諏訪の風の神様から聞いた話をまとめた第2弾。


    ・  竜神になった三郎

    ・  福寿草になった少女



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