竜の姿をみた少女2
「そうか。とうちゃんも、しらかば湖でつりをして
いた時、『おっかあ、おっかあー。どこにいるー』
という声を聞いたことがある」
「だれの声なの?」
「妻をさがして歩く三郎の声だといわれている」
「三郎って、だれ?」
「大昔、たてしな山のふもとに住んでいたという三
郎だよ。三郎はね、なぜか竜になってしまったのだよ」
「竜に? とうちゃん。しらかば湖に、竜がいるって、
ほんとう?」
「さあなぁ。村には、竜がいるといういいつたえがあ
るが、竜の姿をみた人はだれもいないからね。でも、
しらかば湖には、竜がいるかもしれないよ」
おとうさんは、夢みるようにいいました。
「ねぇ、とうちゃん。村に伝わっている竜の話って、
どんな話なの」
つづく
「竜の姿をみた少女」は、みほようこの二冊目の
童話集・「竜神になった三郎」の続編。
- 作者: みほようこ,長野ひろかず
- 出版社/メーカー: 鳥影社
- 発売日: 2004/04
- メディア: 単行本
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湖につき落とされた三郎が、地の神に助けられ、心
のやさしさゆえに、竜神となる表題作ほか、守屋山
の明神様にまつわる、福寿草と少女の話を収録。
信州諏訪の風の神様から聞いた話をまとめた第2弾。
・ 竜神になった三郎
・ 福寿草になった少女