竜神になった三郎


    竜神になった三郎18


「やっと村へ帰ってくることができたぞ」
三郎はほっとしました。
のどがかわいた三郎は、水を飲もうと、近くの沼へ
行きました。
「おや、なんだろう」
沼に写った自分の姿をみた三郎は、腰がぬけるほど
びっくりしました。



三郎の体は、うろこのついた大きな蛇になっていた
のです。
「せっかく村に戻ってくることができたのに。なぜ
だ。こんな姿でおっかあに会ったら、おっかあはび
っくりして、腰をぬかしてしまうだろう。でも、お
っかあにひとめ会いたい」
三郎は、ずるずるーとはって、わが家にいそぎまし
た。



やっと、なつかしいわが家につきました。
「おっかあ、帰ったぞ。おっかあ、元気でいるか」
三郎は、大声で妻をよびました。
しかし、何の返事もありません。
それどころか、家のまわりは草だらけでした。

         
                     つづく


                      
竜神になった三郎」は、みほようこの二冊目の童話集・
竜神になった三郎」に収録されています。



竜神になった三郎 風の神様からのおくりもの (2)

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