あげはちょうになって6
あげはちょうは、家までついてきた。
そして、いろいろな花が咲いている庭で、
楽しそうに遊んでいた。
あげはちょうは、たまのかんざしの花が気
に入りらしく、花のまわりをまったり、花
の上で休んだりしている。
「かなちゃん。いつもぼくのことを思い出
してくれて、ありがとう。
ぼくのことを思い出してくれるのは、かな
ちゃんだけだ。
ぼくはね、夏になると、あげはちょうにな
って、かなちゃんの庭に遊びにきていたん
だよ」
あげはちょうは、かわいい声でつぶやくと、
あっという間にどこかへとんでいってしま
いました。
たまのかんざしのにおいが、風にのってぷー
んとにおってきた。
なんともいえない良い香りだ。
薄暗くなった庭で、たまのかんざしの花だ
けが、白くうきあがってみえた。
おわり