きよと清太と、そして白駒


   きよと清太と、そして白駒14


「沈黙の愛って?」
「さあ・・・」
清太は、知っていました。
でも、てれくさくて清太は口にだすこ
とができなかったのです。
なぜなら、清太は、きよが大好きだっ
たからです。



二人は、座禅草が咲いている高原を、
ゆっくり歩きました。
目の前に、八ヶ岳連峰がみえます。
「きよちゃん。あの山、何という山か、
知っている?」
一番高い山を指さして、清太がいいま
した。



「赤岳でしょ」
「そう、赤岳だね。じゃあ、となりの
山は?」
「わからないわ。教えて」
「えーとね・・・たしか・・・、権現岳
横岳かな」
清太は、天狗岳根石岳・硫黄岳・横
岳・阿弥陀岳・・・と、八ヶ岳の山の
名前を教えてくれました。
八ヶ岳連峰には、まだ雪が残っています。


              つづく



信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう悲しい伝説があります。


「きよと清太と、そして白駒」は、そ
の伝説をヒントにして、みほようこ
書いた物語。



登場人物


・きよ  長者の一人娘

・清太  長者の家で働いている少年

・白駒 長者の家の馬