竜神になった三郎


  童話「竜神になった三郎」より


どのくらいの時間がすぎたのでしょう
か。
「気分はどうじゃ。気がついたかな」
その声で、三郎ははっと目がさめました。
三郎は、広い部屋の中で寝ていました。
そばには、長いひげのおじいさんが立
っています。



「わしは地の国の神じゃ。本当にひど
い目にあったのぅ。
しかし、おまえはあんなひどい目にあ
っても、兄たちを少しもにくんでおらぬ。
なぜじゃ。なぜおまえは、兄たちをに
くまないのじゃ」
神様は、三郎にたずねました。



「私は幼い時から、太郎兄さんにも次
郎兄さんにも、かわいがってもらいま
した。
兄たちがなぜあんなひどいことをした
のか、私にはわかりません。



兄たちにつき落とされた時は、本当に
びっくりしました。
しかし・・・、私は兄たちをにくむ気
にはどうしてもなれません」
三郎は、そう答えました。


 
「おまえは本当に不思議な男じゃのぅ。
そうだ、おまえを地の国の王子に迎え
よう」
「えっ、私が地の国の王子ですって?」
「そうじゃ。人を少しも疑うことを知
らないおまえを、この国の王子にして
あげよう。



じつは王様には、あとつぎがなくて、
困っていた所じゃ。
これからおまえはこの国でのんびりと
暮らすがよい」
そういうと、神様はどこかへ行ってし
まいました。




   竜神になった三郎


http://www.geocities.jp/dowakan/saburou1.html




信州の諏訪地方には、「竜になった
三郎」という伝説があります。



竜神になった三郎」は、その伝説を
ヒントにして、みほようこが書いた物
語。



竜神になった三郎」は、みほようこ
の二冊目の童話集「竜神になった三郎」
に収録されています。








   童話集「竜神になった三郎」


http://www.geocities.jp/dowakan/douwasyuu2.html




 童話集「竜神になった三郎」感想文

 
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20000105#p1