きよと清太と、そして白駒


 きよと清太と、そして白駒36


「きよ。おまえには、好きな人がいる
のかい?」
「はい。います」
「とうちゃんが知っている人かな?」
「清太さん」
「清太?・・・清太って、わが家で働
いている清太かい?」



「そう、清太さん」
「きよ。清太は、うちの使用人なんだ
よ」
「とうちゃん。なぜ、私が清太さんを
好きになってはいけないの? 
私、清太さんが大好き。清太さんと結
婚できたらいいなと思っているわ」
長者は、びっくりました。



「きよは、いつから清太を好きになっ
たんだい」
「清太さんが、この家にきた時から好
きだった。でも、最初は、大好きな兄
ちゃんという感じだった。
清太さんが心から好きだとわかったの
は、この間霧ケ峰高原へゆうすげの花
をみにいった時かな」


              つづく



信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう美しい湖があります。
その湖には、「白駒の池」という悲し
い伝説があります。



「きよと清太と、そして白駒」は、そ
の伝説をヒントにして、みほようこ
書いた物語。