きよと清太と、そして白駒49
第四章 清太、森の中の湖へ
次の朝。
清太は、まだ夜の明けないうちに、長
者の家を去りました。
空には、星が輝いています。
「きよちゃん。楽しい思い出をありが
とう。八年間、きよちゃんのそばで暮
らすことができて、幸せだった。
おらは、きよちゃんが大好きだ。おら
のこと、忘れないでね。
きよちゃん。さようなら」
何度もふりかえりながら、清太はやし
きを後にしました。
清太は、行くあてがありません。
家に帰れば、両親が心配します。
清太は、八ヶ岳の森の中にあるという
湖をさがしだし、湖のほとりでこれか
らのことを考えようと思いました。
しかし、湖は、麦草峠の近くの森の中
にあるということしかわかりません。
つづく
信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう美しい湖があります。
その湖には、「白駒の池」という悲し
い伝説があります。
「きよと清太と、そして白駒」は、そ
の伝説をヒントにして、みほようこが
書いた物語。