きよと清太と、そして白駒


   きよと清太と、そして白駒68


「清太さん。おぼえている? 秋にな
ると、ここへ松虫草の花をみにきたね。
清太さん。今、どこにいるの? 
なぜ、私の前から姿を消してしまった
の。



清太さんがいなくなって、私とてもさ
みしかった。
清太さんがどれだけ大切な人かよくわ
かったわ」
きよは、松虫草の花にむかっていいま
した。



すると・・・。
どこからか、赤いちょうが舞ってきま
した。
ちょうは、松虫草の花にとまりました。
そして、ゆっくり羽をひろげました。



ちょうの羽には、大きな目玉のように
みえるもようがついています。
よくみると、その目玉の模様から、白
い小さな涙が点々とたれているように
みえます。なんともふしぎな模様でした。



              つづく



信州の佐久地方には、「白駒の池」と
いう美しい湖があります。
その湖には、「白駒の池」という伝説
があります。



「きよと清太と、そして白駒」は、そ
の伝説をヒントにして、みほようこ
書いた物語。