竜の姿をみた少女24
その時、「ぴゅぅー」と、涼しい風
が吹いてきました。
「かな。この風は、だれが吹いてい
るか、知っているかな」
「だれが吹いているの」
「竜が吹いているのじゃ」
「竜が?」
「そう、神様の許しをえて、わしら
が吹いているのじゃ。
風といっても、いろいろな風があるね。
どんな風があるかな」
「五月、青葉が美しいころに吹く風。
私、この風が大好き」
「その風を、何というか知っている
か。薫風というのじゃ」
「薫風?」
「薫る風と書いて、薫風じゃ」
「夏に吹く涼しい風。体がこごえて
しまいそうな冬の北風、台風の時の
あらあらしい風、竜巻の時の突風」
つづく
童話「竜の姿をみた少女」は、童話
「竜神になった三郎」の続編。
童話「竜神になった三郎」は、
みほようこの二冊目の童話集「竜神に
なった三郎」に収録されています。
童話「竜神になった三郎」
http://www.geocities.jp/dowakan/saburou1.html
童話集「竜神になった三郎」
http://www.geocities.jp/dowakan/douwasyuu2.html
http://www.bk1.co.jp/product/2434727