火とぼし山


   火とぼし山64


足長は手長を背負い、ごぉーと音
をたてているうずのまわりを、ゆ
っくり歩きました。
「明神さま。これからうずのまわ
りを歩きます。どうかわしらをし
っかりお守りください」
手長と足長は、心の中で明神さま
にお願いしました。



「よし、わかった。手長、足長。
きよのことをたのんだぞ」
どこからか、明神さまの声が聞こ
えてきました。
手長は、長い手で、うずの中をか
きまわしました。
しかし、何もひっかかってきません。


              つづく



「おみわたり」で有名な信州の諏訪
湖には、「火とぼし山」という悲し
い伝説があります。



「火とぼし山」は、その伝説をヒント
にして、みほようこが書いた物語。