朝顔のエスカレーター


   朝顔エスカレーター5


次の朝、かなは黄金色の鳥がとま
っていた柱時計の上を、そっとの
ぞいてみました。
黒い種が一粒のっています。
「何の種かしら」と思いながら、
かなはその種を白いふうとうに入
れ、机の奥にしまっておきました。



庭へでると、おとうさんが育てた
朝顔の花が、たくさん咲いていま
した。白い花も紫の花も、ピンク
の花も咲いています。



「かな、みてごらん。朝顔の芽が
でてきたよ。かわいいだろ」
「かな、つるがのびてきたよ」



「ほら、みてごらん。つぼみが三
つもついたよ。もうすぐ花が咲く
よ。楽しみだね」
朝顔の花をみていると、おとうさ
んの声がなつかしく思い出されま
した。


               つづく



童話「朝顔エスカレーター」は、
みほようこの三冊目の童話・
「ふしぎな鈴」に収録されています。



「ふしぎな鈴」は、2005年9月、
「鳥影社」から発行されました。