瑠璃寺の青獅子6
「その祭につかう獅子頭を、そなた
に作ってもらいたいのじゃ」
「獅子頭ですか」
男は、なぜか迷っています。
「そう、生きているようにみえる
獅子の頭。獅子頭をみたこどもが、
驚いてわぁーと泣きだすような、
そんな獅子の頭を作ってほしい」
「生きているようにみえる獅子の
頭ですか。
和尚さま、難しい注文ですな」
「無理かのぅ」
「そんな獅子頭が、彫れるかどう
かわかりませんが、やってみまし
ょう」
「すばらしい獅子頭ができるのを、
楽しみにしていますよ。
来年の春の祭に間にあうようにお
願いします」
そういって、和尚は、男に獅子頭
を依頼しました。
つづく
昨日の分は、こちら。
瑠璃寺の青獅子5
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20080930#p1
初めてこの物語を読んでくださったかたへ
瑠璃寺の青獅子1
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20080926#p1
「瑠璃寺の青獅子」は、信州高森
町の瑠璃寺に伝わっている話をヒ
ントにして、みほようこが書いた
物語。
「瑠璃寺の青獅子」、無断転載・
再配布を禁止します。