母の短歌8


独り居の部屋にかそけき音立てて

   娘の生けし茶の実ころがり落ちぬ



一日を共同炊事に立ち働きて

   ほてる足裏床に伸ばしをり



我がバスのあぐる砂埃は谷越えて

   落葉松林にすひこまれゆく



里に来て昔のままなる飯台の

   吾が座にすはり老母と茶をのむ