母の短歌27


平凡な主婦にて終はるこの一生

   幸せとも不甲斐なきとも思ひぬ



意のままを言へば互いに傷つかむ

   逢ひたる今日も黙しがちなる



在りし日に夫の座りし場に座り

   雨の一日をチョッキ編みつぐ



一枝の椿を彫りし亡き夫の

   手作りの俎板心こめて磨く