母の短歌97


病み後のろれつの悪しきを嘆きつつも

   従兄弟は歌会でひたすらなりき



在りし日に夫の作りし玉しのぶ

   赤き芽吹きの日に透きて見ゆ



春風過ぎし朝の裏庭に

   散りばふ柿の若葉掃き寄す



花見むと来しユリの木の枯れがれて

   根元に一枝伸び立つ緑