母の短歌31


植え替ゑを怠りて来し夏水仙

   葉のみ繁りてひとつだに咲かず








こほろぎ一つ歩む厨に紫蘇の実を

   冷凍にせむと青く茹であぐ



友を送り立つ門先に秋海棠

   夕日に赤く茎透けて見ゆ








木瓜の実の黄色に熟れ匂ふ裏庭に


  散り尽したる柿の葉を掃く






写真は、「花のほほえみ」より