母の短歌95


間をおきて屋根より雪のなだれ落つる

   音のひねもす庭に響きぬ



六時八分で止まりしままの腕時計

   亡き夫偲び錆びしを磨く



二十年後の老に備ふると言ふ子等に

   我にはかかる余裕なかりき



母のごと慈しみくれし君が形見

   ヒマラヤスミレ今年も咲きぬ