女神さまからのおくりもの18
「長者さまは、いい息子さんがい
て、幸せじゃのぅ」
「いや、清太は、わしの息子では
ないのじゃ。
わが家で働いている少年じゃ。
こんなすてきな息子がいたら、う
れしいのだが」
二人は、なぜか親子にまちがわれ
ました。
忙しい生活を送っている清太にも、
たった一つ、楽しみがありました。
白駒の背にきよをのせて、八ヶ岳
のふもとの高原を、二人で走りま
わることでした。
きよと高原を走っている時、清太
は幸せでした。
第三章 座禅草の咲く高原で
春の遅い佐久にも、ようやく暖か
な春がやってきました。
長者の庭でも、福寿草の花がきれ
いに咲いています。
「おじょうさま」
「なぁに、清太さん」
つづく