女神さまからのおくりもの


 女神さまからのおくりもの20


「その場所はね、諏訪の神様が住
んでいる守屋山のふもとなんだ。
春になるとね、林の湿地に、座禅
草がかわいい芽をだすんだよ」



いつも無口な清太が、今日は一人
でしゃべっています。
「今日の清太さんは、別人みたい」
きよは、心の中でそっとつぶやき
ました。



「おじょうさまは、諏訪へ行った
ことがある?」
「あるわ。とうちゃんと一緒に、
御柱祭をみに行ったことがある。
清太さん、御柱祭って、勇ましい
お祭ね」



「ほんと、勇ましいお祭だね。
御柱祭は、七年に一度、申年と寅
年に行われる諏訪大社のお祭だよ。
中でも、上社の川越しと、下社の
木落としは、すごいね。



山から切り出された十数トンもあ
る大きな樅の木が、木遣りの歌を
合図に、ずずずぅーと動いていく。
そして、おおぜいの人の手で、長
い時間をかけて、神社まで運ばれ
るのだよ」


             つづく