母の短歌98


歌などは教へらるべきものにあらじと

   詠まれし先生のみ歌心に沁みぬ



使ふこと少なくなりきて在りし日に

   母剥きくれし真綿残れり



去り難く娘と立つ墓辺に在りし日に

   夫の植ゑたるハナノキの花



梅雨明けて夏の日光の漲る庭

   蝉のぬけ穴日毎に増しきぬ