母の短歌99


木漏れ日に浮きたちて見ゆ岩煙草

   紫の花亡き夫偲びぬ



母に似し姉と語れば遠き日の

   母の仕草の蘇りくる



子等の幸は親の仕合はせと言ひし母の

   心を年経てわれも知りたり



筆まめなりし夫の命日に娘夫婦

   便箋とペンを供へて行きぬ