母の短歌113


柿むきを終へて安きか友の家の

   窓は今宵早くも暗し



知至先生のみ庭に立ちて寂しき花と

   詠まれし黄梅に向ひ偲びぬ



雨のまま啓蟄の今日昏れゆきて

   六時の鐘の鈍く響きぬ



わが庭の春の初花アネモネ

   赤きを切りて夫に供へむ