鹿になった観音さま


   鹿になった観音さま14


「観音さま。身の危険を感じたと
はいえ、わしは観音さまの化身で
ある鹿に矢をむけてしまいました。
どうか、わしを許してください。
今まで、わしはたくさんの鹿を殺
しました。



なんて罪深いことをしていたので
しょう。
今日限り、鹿狩りをやめます。
弓をひくこともやめます。
観音さま、どうかわしをお許しく
ださい」
三郎は、観音さまに許しをこいま
した。



「さあ、石になってしまったタケル
とチハヤを、迎えにいこう」
和尚と三郎は、裏山へいそぎました。
「和尚さま、ここです」
大きな杉の木の根元に、犬の形をし
た二つの石がころがっていました。


          つづく



   昨日の分は、こちら


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20091115#p1



   初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20091103#p1



「鹿になった観音さま」は、信州
伊那谷にある「立石寺」に伝わ
っている話をヒントにして、みほ
ようこが書いた物語。