笛の音よ、永久にひびけ


   笛の音よ、永久にひびけ13


切りたおされた木の中でも、楓の
木はみごとでした。
「なんて大きな楓の木だろう。
せめて楓の木だけでも、なんとか
生かしてあげたいものだ。



そうだ。楓の木で笛を作ったらど
うだろう。
きっとすばらしい笛ができるにち
がいない」
若者は、そう思いました。



「笛を作りたいのですが、楓の木
をゆずっていただけませんか」
若者は、責任者の人にたのみました。
「楓の木で、笛ができるのですか?」
「ええ、できますよ。きっと、すば
らしい音色のする笛ができると思い
ますよ」
若者は、そう答えました。 



「丘の上の楓の木が、笛になるなん
てうれしいね」
それを聞いた村の人々は、大喜びで
した。


            つづく



   昨日の分は、こちら


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20091217#p1



   初めて読んでくださったかたへ


   笛の音よ、永久にひびけ1


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20091203#p1




「笛の音よ、永久にひびけ」は、
スキー大会の会場をつくるために
きりたおされた、信州の志賀高原
の樹令200年の楓のお話。



童話「笛の音よ、永久にひびけ」
は、みほようこの四冊目の童話集・
「ライオンめざめる」に収録され
ています。