笛の音よ、永久にひびけ17
こうして、切りたおされた楓の木
は、一人の若者によって、コカリ
ナとよばれるすてきな笛に生まれ
かわりました。
若者は、村の人々が帰った後も、
いつまでもいつまでも笛をふきつ
づけました。
笛の音は、遠くふもとの村までひ
びきわたりました。
「若者よ、わしに新しい命を与え
てくれて、ありがとう。
感謝しているぞー。わしはうれし
いのじゃ。
わしはこの丘が大好きじゃ。
だから、このままずっとこの丘に
住みつづけるつもりじゃ」
楓の声が、どこからか聞こえてき
ました。
それから後、村の人々が丘へ登る
と、どこからか美しい笛の音が聞
こえてくるそうです。
笛の音だけでなく、楓があくびを
する音や、風にゆれる葉の音も聞
こえるそうです。
おわり
昨日の分は、こちら
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20091221#p1
初めて読んでくださったかたへ
笛の音よ、永久にひびけ1
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20091203#p1
「笛の音よ、永久にひびけ」は、
スキー大会の会場をつくるために
きりたおされた、信州の志賀高原
の樹令200年の楓のお話。
童話「笛の音よ、永久にひびけ」
は、みほようこの四冊目の童話集・
「ライオンめざめる」に収録され
ています。