笛の音よ、永久にひびけ


  笛の音よ、永久にひびけ16


半年がすぎました。
ある日、やっと気にいった音色の
する笛ができました。
「やっと、清らかな音色のする笛
ができたぞ!」
若者は、とびあがってよろこびま
した。



一カ月後。
若者は、楓の木が立っていた丘の
上で、コンサートを開きました。
協力してくれた村の人々や、楓の
木が大好きだったこどもたちのた
めに、若者は楓の笛でいろいろな
曲を演奏しました。



二百年もの間、村の人々を守って
くれた楓の木の精が、その笛の中
に宿っているような、清らかな音
色でした。
村の人々は、若者が奏でる清々し
い笛の音に、時間も忘れうっとり
と聞きほれました。

 
             つづく



   昨日の分は、こちら


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20091220#p1



   初めて読んでくださったかたへ


   笛の音よ、永久にひびけ1


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20091203#p1




「笛の音よ、永久にひびけ」は、
スキー大会の会場をつくるために
きりたおされた、信州の志賀高原
の樹令200年の楓のお話。



童話「笛の音よ、永久にひびけ」
は、みほようこの四冊目の童話集・
「ライオンめざめる」に収録され
ています。