開善寺の早梅の精


    開善寺の早梅の精3


寒さが厳しい暮れのある日。
「開善寺の梅が、もう咲いたそうだ」
「えっ、こんなに寒いのに、梅が?」



「開善寺の梅は、冬至のころには、
花が咲くそうじゃ。
後醍醐天皇によって、信濃梅と名づ
けられた梅の花は、美しい。
香りも絶品じゃ」
文次は、村の人から、開禅寺の早梅
の話を聞きました。



「なんとしても、その梅がみたい」
そう思った文次は、そっと戦場をぬ
けだしました。
その日は、北風が吹く寒い日でした。



「こんな寒さの中で咲く梅は、どん
な梅だろう」
文次は、こどものように胸をはずま
せ、開善寺へと急ぎました。


            つづく



   昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20091226#p1



   初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20091225#p1




「開善寺の早梅の精」は、信州の
伊那谷にある「開善寺」に伝わっ
ている話をヒントにして書いたもの。