開善寺の早梅の精


  開善寺の早梅の精6 


文次は、即興で歌をよみました。


  響き行く鐘の声さへ匂ふらむ

    梅咲く寺の入り相の空


「この寺では、鐘の音までも、梅
の香りに満ちている」、こんな意
味の歌でした。


 
すると、女の人は軽くおじきをし、
歌を返してきました。


  眺むれば知らぬ昔の匂ひまで

    おもかげ残る庭の梅が枝


女の人は、「この梅には、昔の美
しかった花の面影まで残っている
ようです」と、よんだのでしょうか。


           つづく



   昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20091229#p1



   初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20091225#p1




「開善寺の早梅の精」は、信州の
伊那谷にある「開善寺」に伝わっ
ている話をヒントにして書いたもの。