開善寺の早梅の精7
「すてきな歌ですね。
ところで、あなたの名前は?」
「梅香といいます」
「梅香さんですか。あなたは、こ
の梅のように美しい」
「美しいだなんて・・・。
あなたの名前は?」
「わしの名前は、埴科文次。侍じゃ」
「文次さんですか。文次さんこそ、
いい歌をよまれる」
「いやいや・・・おはずかしい」
梅香にほめられ、文次は顔が赤く
なりました。
「文次さん。なぜここへみえたの
ですか」
「わしらは、今、甲斐の武田と戦
っている。
でも、開善寺の梅がみたくなって、
こっそり戦場をぬけだしてきたの
じゃ」
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20091230#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20091225#p1
「開善寺の早梅の精」は、信州の
伊那谷にある「開善寺」に伝わっ
ている話をヒントにして書いたもの。