福寿草になった少女13
それから一年が過ぎました。
山深い村にも、ようやくあたたか
な春がやってきました。
ある日、福はたった一人で留守番
をすることになりました。
大勢の人に囲まれて生活している
福には、珍しいことでした。
一人で留守番をしているうちに、福
は守屋山に咲いているという黄金
色の花が、むしょうに見たくなり
ました。
「福や、一人で遠くへ行ってはい
けないよ」
いつも両親にいわれていたのに、福
はたった一人で守屋山へ行ってみ
ようと思ったのです。
福は、お守りの鈴を首にかけると、
守屋山にむかって、細い急な道を
登って行きました。
福が歩くたびに、「リーン・リーン」
と、鈴の良い音がします。
つづく
昨日の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100206#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100126#p1
童話「福寿草になった少女」は、
みほようこの二冊目の童話集「竜
神になった三郎」に、収録されて
います。
信州諏訪の「風の神様」から聞い
た話。