福寿草になった少女


  福寿草になった少女22


その日、長者夫婦は、みちたりた
心で家に帰りました。
「福は、私がみたいといっていた
黄金色の花になったのじゃのぅ」
長者はそっとつぶやきました。



それから五百年がすぎました。
守屋山のふもとでは、何万本にも
ふえた福寿草が、春の光をあび、
美しく咲いています。
その中に一本、福の生まれ変わり
の花が咲いています。



その福寿草は、守屋山にまだ雪が
残っている頃、ふっくらしたかわ
いい芽をだします。
そして、ほかの福寿草が全部咲き
終わるまで、美しく咲いているそ
うです。


           おわり



   昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100215#p1



 初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100126#p1




童話「福寿草になった少女」は、
みほようこの二冊目の童話集「竜
神になった三郎」に、収録されて
います。

信州諏訪の「風の神様」から聞い
た話。