明神さまの姿をみた少女


  明神さまの姿をみた少女2


少女が、明神さまへ千回目のお参
りにいった日。
ひとっこ一人いない静かな境内を、
ぴゅーと心地よい風が、通りすぎ
ていきました。



「なんて気持のよい風だこと」
少女がそうつぶやいた時、社の方
からおごそかな声が聞こえてきま
した。



「おまえは、兄思いのやさしい少
女じゃのー。
兄の病気は、じきによくなるだろう。
いつまでも、今のやさしい気持をわ
すれずに、生きていくのじゃよ。



わしは、時々少年の姿になって、諏
訪の地をあちこちみて歩いているの
で、おまえのことも兄のことも、よ
ーく知っているぞ。
これからも、兄と仲良くするのじゃよ」
その声は、いつかどこかで聞いたこと
があるような、なつかしい声でした。


             つづく



       昨日の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100425#p1




       初めて読んだくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100425#p1



童話「明神さまの姿をみた少女」は、
みほようこの初めての童話集「風の
神様からのおくりもの」に収録され
ています。






  童話集「風の神様からのおくりもの」


http://www.geocities.jp/dowakan/douwasyuu1.html