竜の姿をみた少女28
「おじいさん。おじいさんの胸か
らもれている光は、なんですか」
「かなは、この光がみえるのじゃな」
「はい、みえます。
黄金色の美しい光がみえます」
「そうか。みえるのか」
おじいさんは、ふところから黄金
色の玉をとりだしました。
「私、さっきから、その光が気に
なってしかたがありませんでした」
「それで、わしの胸ばかりみてい
たのか。この玉は、真澄の玉じゃ」
「ますみの玉?」
「そう、真に澄むと書いて、ます
みの玉じゃ。
この玉はのぅ、わしが諏訪地方を
守る竜神になった時、妻のおとう
さんからゆずられたものじゃ。
過去や未来がみえる、ふしぎな玉
なのだよ。
なくなった人が、あちらの国でど
んな生活をしているか、みえるの
じゃ」
つづく
前回の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100822#p2
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100725#p2
童話「竜の姿をみた少女」は、
みほようこの五冊目の童話集
「竜の姿をみた少女」に、収録
されています。
昨年12月、「鳥影社」から、
発行されました。
童話集「竜の姿をみた少女」は、
「しらかば湖」と「白駒池」を
訪ねた時に、信州諏訪の「風の
神様」から聞いた話。
風の神様からのおくりものシリ
ーズ5。
http://www.bk1.jp/product/03220629
収録されている童話
・ 竜の姿をみた少女
・ 女神さまとの約束
裏表紙