竜の姿をみた少女32
わしは、「おっかあ、おっかあー、
どこにいるー。
いたら返事をしてくりょー」とさ
けびながら、妻をさがして歩いた」
「奥さまは、どうしていなくなっ
たのですか」
「妻は、何カ月も、わしをさがした
らしい。
でも、わしをみつけることができな
かった。
疲れはてた妻は、諏訪湖へ身をなげ
ようとしたのじゃ。
その時、妻のおとうさんがあらわれ、
諏訪湖の奥へ妻をつれていったらしい。
後で知ったのだが、妻はある神さま
の娘だった。
妻は、わしが帰ってくるのを、諏訪
湖の奥で待っていてくれた。
いつ帰ってくるかわからぬわしを、じ
っと待っているのはさぞつらかった
だろう。
妻には、気の毒なことをしてしまった」
つづく
前回の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100826#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100725#p2
童話「竜の姿をみた少女」は、
みほようこの五冊目の童話集
「竜の姿をみた少女」に、収録
されています。
昨年12月、「鳥影社」から、
発行されました。
童話集「竜の姿をみた少女」は、
「しらかば湖」と「白駒池」を
訪ねた時に、信州諏訪の「風の
神様」から聞いた話。
風の神様からのおくりものシリ
ーズ5。
http://www.bk1.jp/product/03220629
収録されている童話
・ 竜の姿をみた少女
・ 女神さまとの約束
裏表紙