竜の姿をみた少女


   竜の姿をみた少女33


「おじいさんは、奥さまに会え
たの」
「会えたよ。十数年ぶりに、諏
訪湖で妻と会うことができた」
「会えてよかったね。
おじいさん、うれしかったでしょ」



「そりゃあ、うれしかった。
ずっと妻に会いたいと思っていた
からのぅ」
おじいさんは、奥さんに会えた時
の様子を話してくれました。



「奥さまも、しらかば湖へみえる
のですか」
「いや、妻はこの湖へは一度もき
たことがない。
悲しい思い出のある村へは行きた
くないといって、一歩もよりつか
ないのじゃ。無理もないがのぅ。
つらい思いをしたのだから」



「そうそう、忘れるところだった。
妻に、かなのことを話したら、妻
が会いたいというのじゃ」
「奥さまが、私に?」


             つづく



   前回の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100827#p1



   初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100725#p2






童話「竜の姿をみた少女」は、
みほようこの五冊目の童話集
「竜の姿をみた少女」に、収録
されています。
昨年12月、「鳥影社」から、
発行されました。



童話集「竜の姿をみた少女」は、
「しらかば湖」と「白駒池」を
訪ねた時に、信州諏訪の「風の
神様」から聞いた話。
風の神様からのおくりものシリ
ーズ5。



http://www.bk1.jp/product/03220629






   収録されている童話

  ・ 竜の姿をみた少女

  ・ 女神さまとの約束



       裏表紙