井戸で鳴く黄金色のにわとり


 井戸で鳴く黄金色のにわとり21


「姫さま」
「姫さまー。どこにいるの」
おつきの人たちの声が、遠くか
ら聞こえてきます。
兵士たちが、姫をおってきます。



姫は、本丸の北方の断崖まで、
おいつめられてしまいました。
すぐ近くに、井戸があります。
深い井戸でした。
姫は、しばらくの間、井戸の囲
みの中にかくれていました。



「こんなところに、姫がいるぞー」
兵士の声がしました。
姫は、これ以上逃げることはでき
ないとあきらめました。



「おとうさま、もう逃げることは
できません。
私は、敵につかまりたくありません。
だから、井戸にとびこもうと思い
ます。
           つづく



    前回の分は、こちら


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100923#p1



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20100904/#p2



「井戸で鳴く黄金色のにわとり」
は、信州の伊那谷にあった「大島
城」に伝わっている話。
その話をヒントにして、みほようこ
が書いたもの。