瑠璃寺の青獅子15
「あごを彫るのは、むずかしい
のぅ。
どれ、口の中をみせてごらん」
「おまえの歯は、大きいのう。
何本あるかな」
男は、獅子に話しかけながら、
獅子頭を彫り続けました。
やっと、獅子頭が彫りあがりま
した。
「獅子よ、できたぞ。
さあ、早くでておいで」
男は、大声で獅子をよびました。
そして、彫りあがった獅子頭を、
やすりでみがいていきました。
ざらざらしていた表面がすべす
べになり、獅子頭らしくなって
きました。
さわやかな秋になりました。
不動滝のまわりの木々も、赤や
黄色に紅葉しはじめました。
つづく
前回の分は、こちら。
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20101018#p1
初めて読んでくださったかたへ
http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20101005#p1
「瑠璃寺の青獅子」は、信州の伊
那谷にある「瑠璃寺」に伝わって
いる話をヒントにして、みほようこ
が書いた物語。
物語の無断転載・再配布を禁止し
ます。