瑠璃寺の青獅子


  瑠璃寺の青獅子16


「仏師となのる男に会ってから、
五カ月。
依頼した獅子頭は、もうできた
だろうか」
和尚は、男の小屋を訪ねました。



小屋の中をのぞいた和尚は、「あっ」
と声をあげました。
長いひげの男がいました。
黒かった髪も、長くのびたひげも、
真っ白でした。
げっそりやせた顔。



男は、ちゃんと食事をしているの
でしょうか。
和尚は、男が何日も食事をしてい
ないのではないかと思いました。
うす暗い小屋の中で、男の目だけ
が異様に光っています。



和尚は、男の変わりようにびっく
りしました。
声をかけることもできず、和尚は
小屋の外から、男の様子をじっと
みていました。


            つづく



    前回の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20101019#p1



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20101005#p1



「瑠璃寺の青獅子」は、信州の伊
那谷にある「瑠璃寺」に伝わって
いる話をヒントにして、みほようこ
が書いた物語。


物語の無断転載・再配布を禁止し
ます。