瑠璃寺の青獅子


   瑠璃寺の青獅子22


「ああ、こわかった。こんなこわ
い思いをしたのは、初めてじゃ。
わしは、悪い夢をみていたのだろ
うか。いや、夢ではない。



わしは、たしかに青い獅子をみた。
うおーっとさけんでいる獅子の声
も聞いた。
夢でない証拠に、着物がびっしょ
りじゃ」
ぬれた着物をみて、和尚がつぶや
きました。



和尚は、滝つぼへおりて行きました。
すると・・・。
どこからか、おごそかな声が聞こえ
てきました。



「仏師よ。おまえのおかげで、わし
は長い眠りからさめることができた。
ある日、わしは、桐の木にとじこめ
られてしまったのじゃ。
今まで、わしのことを気づいてくれ
た人は、誰もいなかった。


              つづく



    前回の分は、こちら。


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20101025#p1



    初めて読んでくださったかたへ


http://d.hatena.ne.jp/dowakan/20101005#p1



「瑠璃寺の青獅子」は、信州の伊
那谷にある「瑠璃寺」に伝わって
いる話をヒントにして、みほようこ
が書いた物語。


物語の無断転載・再配布を禁止し
ます。