古事記神話「古事記物語」


   稲羽のしろうさぎ 5


「どうやって、鰐をだましたのじゃ」
「おまえとわしの仲間、どちらが多
いか、比べてみようじゃないか。あ
の気多の岬まで、一列に並んでごら
ん。そうすれば、わしが数を数えて
やるから」
鰐にそういったのです。



鰐たちはすっかりだまされて、海の
上にずらりと並びました。
びっくりするほどたくさんの鰐でした。
わしは、十・五十・八十・百・二百・・・
三百と数えながら、鰐の背中の上を、
ぴょんぴょん渡っていきました。


         つづく