古事記神話「古事記物語」


  稲羽のしろうさぎ 6


そして、もう一足で岸へあがろう
とした時、ゆだんして大声でさけ
んでしまったのです。
「やーい、やい。まぬけな鰐め。
うまくだまされたな。わしは、た
だ本土へ渡りたかっただけだ」と。



すると、最後に並んでいた鰐が怒っ
て、いきなりわしをつかまえました。
そして、毛をはいでしまったのです。
痛くて泣いていると、さっきここを
通った八十神たちが、毛が早くはえ
る方法を教えてくれました。



教えてもらった通りに、海水で体を
洗い風に吹かれていると、体中の皮
がこわばり、びりびりさけてしまっ
たのです。
そういうと、うさぎは「うわーん、
わーん。痛いよ、痛いよー」と、大
声でなきだしました。


       つづく