古事記神話「古事記物語」


やきもちをやく須勢理比売 4


すると、須勢理比売が大きな杯を
とり、大国主命のそばに寄り、杯
を捧げて歌を詠みました。



八千矛神よ、私の大国主命よ。
あなたは男だから、島の岬、港ご
とに妻がいるのでしょうね。
私は女ですから、あなた以外に男
はいません。
あなた以外に夫はいません。



綾織りの帳がひらりとたれている
下で、カラムシの寝具の柔らかな
下で、タクの寝具のざわざわ鳴る
下で、淡雪のような私の白い胸を
やさしくだいてください。


       つづく