古事記神話「古事記物語」


やきもちをやく須勢理比売 3


その衣を脱ぎ捨て、山の畑に蒔い
た蓼藍で染めた衣をきて、胸元を
みる。
そして、袖をあげさげしてみると、
この衣はとてもよく似合っている。



愛しい妻よ。たくさんの鳥が飛び
立つように、わしが大勢のおとも
のものに引かれていったならば、
あなたは泣くまいと強がっていて
も、ススキのようにうなだれて泣
くだろう。



あなたの嘆きは、朝の雨が霧とな
ってたちこめるように、嘆きの霧
が立ちこめるであろう。
愛しい妻よ。


          つづく