火とぼし山


   次郎、西の村へ 4


「やっとみつけたぁ」
そういって、二人でとびあがって
よろこんだことも、思い出しました。
「春の日をあび、福寿草の花が、き
らきら光っていた。ほんとにきれい
だったね。次郎さん、また福寿草
花をみに行こうよ」
きよがいいいました。
二人は、七年前の春を思い出し、幸
せな気持になりました。



「きよちゃん。おれ・・・」
「どうしたの。次郎さん」
「大事な話がある」
「大事な話って、何」
「おれ、引っ越すことになった」
次郎が、早口でいいました。


       つづく